全ての苦しみは「自分の思い通りにいかない」のが原因

自分の思い通りに物事が進まないと、イライラしたり、

悲しくなったりしますよね。

しかし、この「自分の思い通りにしたい」という気持ち自体が、

私たち自身を苦しめているのです。

 

なぜ自分の思い通りにいかないと、苦しいのか

 

「自分の思い通りにしたい」という意識は、そもそも、

自分、という意識があるから生じます。 

 この「自分」という意識は、つまり自我なのですが、

自我のことを、サンスクリット語では「アハンカーラ」と言います。

 

アーユルヴェーダの考えでは、全てのもの、宇宙や人間、人間以外のもの、

全てものは、本当は一つと考えます。

 

全てのものは、ひとつのエネルギーで、同じものからできているけど、

私たち人間は、自我、つまり、「私」という意識があるために、

他人と自分を区別したり、外と「自分の」体内の区別をしています。

 

空気は、ブラジルの空気も、日本の空気も同じ空気ですよね?

どこからどこまでがブラジルの空気で、ここからは日本の空気、

と決まっているわけではなく、地球全体に一つの空気が流れています。

それを、風船の中に入れると、風船の中の空気は、

1つの空気に見えます。この風船が私たちの体です。

 

私たちは、生まれた瞬間から、他人と自分を区別するための「自我」を持って生まれてくるため、

この自分という意識があるので、私たちは

他人と比べて、自信を無くしたり、

好きな人が、期待していたことをしてくれなくて落ち込んだり、

計画通りに物事が進まなくてイライラしたり、

するのです。

 

自分という意識がそもそも無ければ、全てのものは同一である、

ということが分かるので

他人と比較することもありませんし、(他人という考えがそもそも無い)

自分の思い通りにしよう、という気持ち自体が生まれません。

つまり、私たちが日々、感じる、不安、イライラ、悲しみ、恥ずかしさは

全て、この自我があるから生まれるものなのです。

 

自我は必要なもの

 

私たちを苦しめる「自我」ですが、もちろん意味があって

自我は存在します。

 

アーユルヴェーダでは、自我は、「乗り越えていくべきハードル」と考えます。

自我をもって、苦しみにぶつかる度に、解決していくことが人生であり、

私たちは、そのハードルを経験することで、強くなり、より賢くなります。

私たちが、「自分の生きがいを見つけ」「豊かさに感謝し」「人を愛する」

ために、(これらは全て、人の生きる目的としてアーユルヴェーダで挙げられていることなのですが)

自我が必要なのです。

 

そして、人生の目的を達成していく中で、自我を無くしていくことを学び、

最終的に、全てのものは一つである、ということを直観し、

自我が無くなる=すべての苦しみから解放される状態に達します。

 

自我と上手に付き合う

 

では、自我に苦しめられすぎないようにどうすれば良いでしょうか。

 

①自分の思い通りにならなくても良いか、という気持ちを持つ

 

そもそも自分の思い通りにならないことが起こるのはしょうがないし、

(全てが思い通りになってしまったらつまらないですね。

 悲しみがあるから喜びがあります。陰と陽の考えです。)

それは自分が勝手に、他の可能性を排除して選んだことです。

自分の経験の範囲の、狭い範囲内で考えたことなので、

思い通りにいかなくても、それは悪いことではなく

「まだそこに至らなかっただけ」なんだと考えましょう。

過去の自分を責めたり、他人を責めたり、環境を責めるのではなく

まだそのときは「未熟」だったのだ、ととらえてみましょう。

 

②結果をどう体験したいかを「自分で」選ぶ

 

自分が思い描いていた結果どおりにならなかったら、

その体験を「自分がどう経験したいのか」と考えましょう。

自分が思い通りにならなかったことに対して、

落ち込みたいのでしょうか、

誰かに怒りたいでしょうか、

それとも、

受け入れて、次はもっと良いチャンスがくる、

これは人生のレッスンで、ここから学ぼう、

と思いたいでしょうか。

 

アーユルヴェーダでは命の構成要素として、

肉体、感覚器官、精神、魂の4つを挙げていますが、

この感覚器官を通じて得た情報で

「何を体験して」「魂を成長させるのか」が

人生では重要です。

 

自分の感じ方は、自分でコントロールできます。

苦しみを選びたかったら、とことん自分の為に泣いてあげても良いです。

 

自分で、その経験を、どう体験したいかを選びましょう。

 

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自我をテーマにしたアーユルヴェーダのお話は、

たくさんあるので、また他のことでも書きたいと思います^^